「いくら」と呼ばれ、時には「宝石」と形容されることもある、プチプチとした食感が特徴の魚卵。
同じく魚卵の商品である「筋子(すじこ)」というものも存在しますが、これら二つの違いがよく分かりませんよね。
実際、いくら筋子違いについて多くの人が混同してしまうこともあるかもしれません。
そこで、「筋子といくらの違い」この二つの魚卵について詳しく比較してみました。
筋子とは?
すじこは、いくらと同じサケやマスの卵ですが、いくらが卵巣膜から取り出されるのに対し、すじこは卵巣膜でつながったままです。
この名前は、卵がスジのような卵巣膜でつながっている特徴に由来します。
一般的には塩漬け加工され、加工されていないものは「生すじこ」と呼ばれます。
東北地方では、塩漬けにしたものを「すじこ」、手を加えていないものを「腹子(はらこ)」と呼びます。
基本的には、未成熟な卵が使用され、そのため卵の大きさはやや小さくなります。
また、筋子は主に塩漬けにして食べられますが、醤油漬けや粕漬けなど他の方法でも加工されることがあります。
すじこは、強い塩味の中に熟成されたコクや旨みがあります。
ご飯にのせたり、おにぎりの具材にしたりするのが一般的で、最も美味しい食べ方とされています。
すじこの旬は北海道では9月中旬から、東北地方では11月中旬頃で、どちらも1ヶ月程度と短いのが特徴です。
いくらとは?
鮭(サケ)や鱒(マス)の卵巣膜に入ったままのつながっている状態がいくらです。
そして卵から取り出され、一粒ずつ分けられたいくらは、通常生のまま塩やしょうゆで漬けて食べられます。
いくらの卵は筋子よりも大きく、食感もプチプチとしているのが特徴です。
特に、キングサーモンのイクラはサーモン科で最も大きく、体長に比例して大粒です。
これらのイクラの大きさは通常のものよりも大きく、直径は約1.5㎝に達します。
そのため、一度は味わってみたい逸品ですね。
旬は9月から12月ごろであり、水揚げされる地域によって異なります。
いくらは濃厚な甘さが特徴的ですが、実際には味がありません。
旨みは漬ける調味料から引き出され、噛むと口の中でトロッとした甘さが広がります。
そのため、漬け込む調味料が非常に重要とされています。
もともと「いくら」も筋子と呼ばれていた?
「イクラ」の語源は、驚くことにロシアにあります。
ロシア語の「ikra(イークラー)」で、「小さくてつぶつぶしたもの」を意味します。
この言葉が日本で使われるようになったのは、ロシア人がばらまいたサケの卵を見て、日本人が「イクラ」と呼ぶことに感銘を受けたからだと言われています。
以前は、日本ではこれらの卵を全て「筋子」と呼んでいたそうです。
なお、ロシア語では「イクラ」という言葉はサケだけでなく、他の魚の卵、例えばタラコやカズノコなども含めて使用されるようです。
興味深いことに、サケの卵はロシアでは「赤いイクラ」と呼ばれ、キャビアは「黒いイクラ」と呼ばれるそうです。
いくらと筋子の違いは?
いくらと筋子は、ともに鮭や鱒の卵から作られる食材ですが、それぞれには大きな違いがあります。
1つ目はまず、卵の成熟度合いが異なります。
筋子は未成熟な卵であり、一方いくらは産卵直前の成熟した卵です。
そのため、いくらはプチっとした皮の食感がありますが、筋子はそうではありません。
また、筋子は卵巣膜に覆われているのに対し、いくらは卵巣膜から剥がされて販売されます。
2つ目はさらに、筋子といくらでは味付けも異なります。
筋子は塩で味付けされることが一般的ですが、いくらはしょうゆベースで味付けされます。
そのため、筋子は塩気が強く、一方いくらは筋子と比べて塩味がまろやかで、プチっとした食感が特徴です。
筋子は主に「ごはんのお供」やおにぎりの具として食べられるのに対し、いくらは白米の上にたっぷり乗せて「丼もの」として食べるのが一般的です。
いくらは味が濃厚なので、少量でも十分に楽しめます。
以上がいくらすじこ違いについてでした。
筋子のほぐし方
筋子をほぐす際には、大さじ1の塩を溶かした2リットルのぬるま湯を使用します。
この塩入りぬるま湯は筋子をほぐすのに必要不可欠なので、3~4リットル分作っておくと便利です。
筋子の加工方法 – 卵巣膜の除去 –
①:ボウルに筋子が浸かるくらいの塩入りのぬるま湯を用意し、筋子を湯に浸けながらほぐします。
親指の腹で卵を押し出すようにして、卵巣膜から卵を取り除いていきます。
卵を湯に浸けると少し白っぽくなりますが、最終的に調味料に漬け込むと透明に戻るので、気にする必要はありません。
②:卵巣膜が十分に取り除かれたら、底からやさしくかき混ぜて白い膜を浮かせ、上澄みと一緒に流します。
水気を完全に切らず、卵が浸かった状態で、残った卵巣膜やほぐれていない卵がないか確認し、あれば手で取り除きます。
③:塩入りのぬるま湯を追加し、1と2の作業を繰り返します。
これを数回繰り返し、白い膜や汚れがほぼ取り除かれたら、ざるに上げて水気をしっかり切ります。
白い膜は洗うたびに出てくるので、完全に取り切れなくても問題ありません。
以上の作業を終えると、卵巣膜の処理が完了し、味付けをすればイクラの完成です。
いくらとすじこのおいしい食べ方
いくら丼
・生筋子 1腹分
・酒 大さじ1
・醤油 大さじ1
・ダシ汁(粉末鰹だしを溶かしたもの) 大さじ1
・みりん(お好みで) 大さじ1
【作り方】
①:生筋子を40度くらいのぬるま湯に入れてほぐす。
②:白っぽくなったら、一度ザルに上げて水を切り、塩水(適量の塩を溶かした水)に入れて色を戻す。
筋が残っていれば取り除く。
③:筋子を戻している間に漬け汁を作る。
④:漬け汁に入れて一日置く。味見して薄ければ醤油を足す。
【ポイント】
分量は目安です。
漬けてから味見して、薄ければ醤油を足してください。
昆布醤油などの出汁醤油で漬けると美味しいです。
先日、みりんを大さじ1入れたものも作ってみましたが、まろやかで美味しかったです。
お好みで丁度良い味になったら漬け汁を捨てると、しょっぱくなりすぎません。
冷凍する場合、漬けたまま解凍すると卵がぐちゃっとなることがあります。
なので、完全に醤油を切ってから冷凍すると大丈夫です。
戻す際は自然解凍で行ってください。
生筋子の醤油漬け
【レシピ】
【材料・調味料】
・生筋子 適量
・酒 適量
・醤油 適量
【作り方】
①:筋子をばらします。生筋子をぬるま湯に塩を少し入れて、目の大きい網でゴシゴシしごきます。※ウチは油切りの網を使用しています。
②:筋子がほぐれたら、水切りをして、酒と醤油でお好みの味付けをします。
③一晩置いたら出来上がりです。
【ポイント】
旬のいくらを酒としょうゆだけで漬けると、シンプルながらも贅沢な味わいが楽しめます。
漬ける時間は一晩が良いでしょう。
まとめ
いくらとすじこは、同じ原材料を使用していますが、それぞれ異なる加工方法を経ています。
・筋子:サケ・マスの卵で、卵巣膜に入ったままのつながっている状態
・いくら:筋子から卵巣膜を外して、バラバラにほぐした卵
卵がつながっているかを見れば一目瞭然ですね。
ぷちっとした食感のいくらも、独特の塩味が特徴のすじこも、どちらも絶品です。
手作りが可能なので、ぜひ今回ご紹介したレシピを試してみてください。
自分好みに味付けするいくらやすじこは、格別の味わいです。
途中で味見をしながら、味の調整をするのがおすすめです。
また、しょうゆの代わりにめんつゆを入れたりみりんを使ったり、昆布だしを使うなどのアレンジもお試しください。
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