虹の谷が物語る、エベレスト登頂の過酷さとエベレストの「眠れる美女」とは?

ヒマラヤ山脈の最高峰であるエベレストは、世界中の登山家たちの挑戦を集めています。
しかし、その中には虹の谷と呼ばれる場所があります。

一見、訪れる価値があるような美しい景色が広がっているかと思いきや、実際にはそのような印象は受けないそうです。

目次

虹の谷とは

虹の谷とは、エベレストの近くにある場所で、名前の由来は多くの登山家が挑戦を失敗し、遺体が残されたことから来ています。


その遺体は、カラフルな登山服を着ており、まるで虹が広がっているかのような風景を作り出しています。
これは、周囲の登山家や登山者に対して、ここは非常に危険な場所であるという警告となっています。

虹の谷という名前の由来

虹の谷という名前の由来は、亡くなった登山者が身に着けていた衣類にあります。
高度のため遺体の回収が難しく、遺体を発見した人々も同様の運命をたどったとされています。

そのため、遺体はそのまま残され、衣類もそのまま虹の谷に留め置かれます。
これは、毎年増え続けるエベレストでの犠牲者を象徴しています。

虹の谷の場所は?

エベレストの北東ルートにある虹の谷は、高度8000メートル以上に位置し、エベレスト登山の熟練者でも挑戦が難しいとされる場所です。

ここには登山者の遺体が残され、回収されることはなく、むしろ他の登山者にとっての目印となっています。
エベレストの登頂は肉体だけでなく、精神的にも非常にタフでなければならないことを示しています。

虹の谷は、デス・ゾーンとして知られる地域に位置しています。

ここは、高度8000メートル以上の地域であり、かつてイギリスが何度も登頂に失敗した難所です。
この地域は酸素濃度が低く、エベレスト山頂付近を探索中に酸素ボンベの残量がなくなり、登山者が死亡する原因となっています。

現在はエベレスト登山のルートが確立されていますが、依然として酸素濃度が低く、登山者にとって大きな挑戦となっています。
高度6500メートル以上の空間は人間には適さないため、登山前に高所に慣れるための準備が数回行われます。

しかし、高度8000メートル以上では体力が奪われるため、限界に達する前に下山しなければならない場合もあります。

エベレスト登頂は困難な理由の一つに、南極点や北極点と同様に未知の場所であったことが挙げられます。

初めて山頂に人間が立ったのは1953年であり、それ以前はこの地域は未踏の領域でした。
このような過酷な環境に挑戦することが、登山者に肉体的、精神的な成長をもたらすと考えられています。

昔はエベレストの山頂への道は確立されておらず、現代のような装備もないため、国に選ばれた一部の人しか挑戦できない場所でした。
しかし、今では一般人でも登頂できるようになりました。

道のりは以前ほど過酷ではなくなりましたが、年々命を落とす人が出るほど厳しいです。
エベレストの登頂には200万から400万円かかります。
そのため、お金がないと登ることはできません。


登山者の増加により、ゴミの山など環境破壊が進んでいます。
そのため、入山費用は増える可能性があります。

エベレストでは死者がいても驚かない状況で、山頂付近では他者を助ける余裕がありません。
見捨てなければ自分の命も危険にさらすことになります。

エベレスト登頂


エベレストに登る人々の中には、経験豊富な者でも、わずかな自信過剰から命を落とすことがあります。

エベレスト登頂を経験していない人が慢心すると、それは死に直結する可能性があります。
そのため、山頂に立ったとしても、下山中に亡くなることが珍しくありません。

さらに、エベレストの厳しい環境では、精神的に追い詰められることもあります。
エベレストの頂上を目指すこと自体がプレッシャーとなり、登頂を諦める人も少なくありません。
これは悲しいことですが、生きるための賢明な選択と言えるでしょう。

エベレストには、何十年も前に登山者が残した遺体が多く残されています。
通常であれば、これらの遺体は回収されるべきですが、エベレストの過酷な環境のために、そのようなことは難しい状況です。

エベレストの頂上を目指すことは、文字通り「屍を越える」ことに等しい場合があります。
そのような状況は、まるで過酷な戦場を思わせるものであり、亡くなった登山者の遺体が目印となることもあります。
こうした状況では、通常の道徳観念が通用しないと言えるでしょう。

虹の谷に残された遺体の数

虹の谷に残された遺体の数は200体と言われていますが、この数は年々増加しており、情報収集は登山者の報告に頼らざるを得ません。
通常、遺体を発見した者が回収を行いますが、エベレストではそのような措置が取られることはありません。

登頂時に見かける遺体は、自分自身も同じ運命になる可能性があることを恐れるだけで、慈愛の念などは湧きません。

遺体回収が進まない理由は、まず8000メートル以上の高所では回収が不可能であることです。
登山者にはその余裕がなく、また200万から400万もの費用をかけて回収されることはほとんどありません。

その結果、エベレストでは死者の数だけ遺体が積み重なります。
エベレストに挑むことは、自らの墓を作ることに等しいとも言えます。

遺体がミイラ化する理由

高い山々では、遺体がそのまま残ることがあります。

通常、地上では生物によって遺体は分解されますが、エベレスト山のような過酷な環境では、遺体が保存されることがあります。
高所では凍結や乾燥が進み、遺体はミイラ化します。

このため、登山者は遺体を発見しても動かさず、そのまま残します。
遺体は何十年もその場所に留まることになります。時には、登山者にとって目印となることもあります。

例えば、インド人登山家のツワング・パルジャーさんの遺体は、グリーンの目立つブーツを履いており、グリーンブーツという名で場所を示す目印として有名です。

遺体は登山の難しさを示すだけでなく、登山者の進捗を把握する手助けにもなります。
しかし、いつかはこれらの遺体が消える日が来るのでしょうか?

エベレストに潜む多くの危険

エベレストには多くの危険が潜んでいます。
時期や環境によっては登山が非常に困難になることもあります。


それでも、最適な時期に登山し、適切な装備を整えれば、登頂することは可能です。
しかし、予期せぬ事態が起こることもあり、経験豊富な登山家であっても命を落とすことがあります。
これらの危険には注意が必要です。

雪崩の危険性

自然の風景や山々の中での雪崩は、登山家たちの命を奪う恐ろしい現象です。
日本人登山家もその多くが雪崩で亡くなっています。
雪崩は予測できる場合もありますが、常にその危険性が存在することに変わりはありません。

また、雪崩は多くの人々を一度に巻き込んでしまうこともあります。
十数人がまとめて亡くなることも珍しくありません。
したがって、登山には死を覚悟する覚悟が必要ですし、遺書を残すことも重要です。

滑落の危険性

現代の登山装備を使い、慎重に行動すれば、滑落することは少ないと言えます。
しかし、疲労や体調不良などにより判断力が鈍ると、滑落事故が起こることがあります。
滑落で亡くなる方もいますが、滑落がなくとも死亡していた可能性がある場合もあります。
いずれにせよ、滑落事故は完全に予測不可能ではありません。

天候悪化の危険性

突然の天候の悪化により、その場を動けなくなり、徐々に体力を消耗してしまうこともあります。
また、強風などの影響で滑落することもあります。

天候の悪化は一部予測できる場合もありますが、完全に予測可能ではありません。
そのため、登山成功には運も少なからず影響します。
また、現地の人々のアドバイスも重要です。

酸素濃度不足

高度8000メートル以上の高山地帯は、地上の酸素濃度の約3分の1しかなく、呼吸で取り込むだけの酸素が不足します。
身体を慣らすための準備期間を経ても、低酸素による症状を完全に避けることは難しいです。

高山病などの症状がなくても、高所にいるときは普段とは異なる状態にあり、意識が混乱して滑落するなどの事故がよく起こります。
この状態は体験しないとわからないため、明確な対処法は存在しません。

さらに、高山地帯では人が多いことも問題です。
近年、エベレスト登山者は増加しており、登山可能な期間は限られています。
人が多いと酸素が減るというわけではありませんが、意識が混乱しやすくなり、死亡につながる可能性が高まります。
エベレスト登山は、そのリスクを受け入れた上で行われるべき行為と言えます。

虹の谷エベレスト「眠れる美女」とは?


虹の谷「エベレスト眠れる美女」とは、1998年5月22日にエベレストを無酸素で登頂した女性のことです。

この女性登山家の名前はフランシス・アーセンティエフです。彼女は1992年にセルゲイ・アーセンティエフと結婚し、以前はヤーブロという姓でした。


彼ら夫婦は以前から有名な登山家であり、北アメリカ最高峰であるマッキンリー(標高5,500m)の登頂や、エルブラス(標高5,642m)でのスキー滑降なども成功させています。

しかし、彼女はエベレスト登頂後に亡くなってしまいました。
彼女がエベレストで何を経験したのか、その過酷な環境がどのように影響したのか、見ていきましょう。

エベレストは過去20年間で年間平均6人が死亡する厳しい登山であり、登頂には命を懸ける必要があります。

登山者の中には低酸素症で倒れることがあり、その中には虹の谷エベレスト「眠れる美女」として知られるフランシス・アーセンティエフも含まれます。

エベレストで動けなくなることはほぼ死を意味し、低酸素と極寒の過酷な環境では、仲間の登山者がいても人を抱えて降りることは不可能です。

エベレスト登頂後フランシスは下山を始めましたが、数百メートル下山した時点で、低酸素症と凍傷により動くことができなくなりました。

その時、偶然にも登山団と出会います。
登山団は彼女を助けようとしましたが、酸素も尽きており、彼女を運ぶことができませんでした。

標高8,000m以上の高所は「デスゾーン」として知られています。
ここでは酸素濃度が極端に低く、人間の生存が不可能な状態です。

この高度では、地上の酸素濃度の約3分の1しかなく、気温も氷点下になります。
そのため、動けなくなった人を運ぶことは、救助者自身の生存確率を著しく低下させる恐れがあります。

フランシスは力なく「置いて行かないで」と訴えましたが、残念ながら救助者たちは彼女を置いて下山せざるを得ませんでした。

もちろん、その後、女性は亡くなり、エベレストに放置されました。
しかし、彼女の叫び声を聞いた2人の登山家は、罪悪感を感じ、なんとか再びエベレストに登り、彼女の遺体を見つけ出し、適切に埋葬したそうです。

エベレスト登頂シェルパとは


エベレスト登頂を支えるシェルパとは何でしょうか?
現在では一般人でもエベレスト登頂が可能ですが、その背後にはシェルパと呼ばれる人々がいます。
彼らがいなければ、素人がエベレストを登頂することはできません。

彼らはまず登山ルートを整備し、人間の足では通れないクレバスに橋を架けるなどの作業を行います。
さらに、天候や山の状態を確認し、登山が安全かどうかを判断します。
高所で発生するさまざまな問題にも対処し、驚異的な活躍を見せます。

彼らはまた、登山中の食事なども担当しています。
シェルパとは、高地に慣れた人々であり、ヒマラヤの山中に住む少数民族であるシェルパ族のことを指します。
欧州の登山家たちが彼らの能力に注目して雇い入れたことが始まりとされています。

現代ではシェルパという名前が使われていますが、シェルパ族以外の人々も含まれる場合もあります。

一般的には、シェルパはヒマラヤ山脈での登山を支援するガイドとして認識されています。
ただし、ヒマラヤ山脈に住むすべての人が超人的なわけではなく、登山をサポートするガイドとなるのは一部の者だけです。

シェルパでも予測不可能

2014年に起きた多数のシェルパが亡くなった事故は、予想外の雪崩によるものでした。
登山に慣れた熟練のシェルパでさえ、このような状況には対処できませんでした。
その結果、16人のシェルパが亡くなり、彼らの不満が高まり、ストライキにつながりました。

この事故の影響で、当時エベレスト登山を計画していた多くの登山家が登頂を断念せざるを得ませんでした。
その後、ネパール政府は保険金を増額するなどの対策を講じ、一時的な解決が見られました。

シェルパの待遇が問題視される主な理由は、彼らに対する扱いがひどいことです。
登山家は多額の報酬を支払っているため、雇用関係が問題となっています。
この問題は避けられないものであり、死というリスクも背負っています。

ネパール政府は対応を取っていますが、問題は未解決のままです。
そのため、今後もストライキなどが起こる可能性があります。

エベレストの商業登山の問題

エベレストの商業登山問題は、エベレスト登頂には膨大な費用がかかることから始まります。
ネパール政府はエベレストの管理に多額の費用を必要とし、これは必要不可欠なものです。
このため、多額の資金が動くことは確かです。

これに目をつけた人々によって、エベレスト登頂は商業化が進み、多くの人を受け入れるようになりました。
結果として、様々な問題が発生し、エベレスト登頂という名誉にも陰りが出てきています。
さらに、自然破壊などの問題も危惧されています。

商業登山では、通常の観光と同様にツアーが組まれており、高価なものから安価なものまでさまざまな選択肢があります。
これにより、多くの人がエベレスト登頂の名誉を得ることができるようになりましたが、そこには大きな問題があります。

安価なツアーでは、エベレスト登頂未経験の人もサポーターとして配置されることがあります。
これにより、死者の増加が懸念され、実際にそのような事故も発生しています。

エベレストの環境破壊問題

ゴミや糞尿の放置が深刻な問題となっているエベレストでは、登山者が物を置いて帰ることは基本的に認められておらず、残してしまった場合は罰金などの措置があるものの、死と隣り合わせの場合は致し方ないとされています。

その結果、エベレストにはゴミが溜まり続けています。
遺体さえ回収されないエベレストでは、置き去りにされた物品も残されたままとなり、エベレストはゴミの山と化し、自然破壊や景観の喪失が懸念されています。

ネパール政府も、登山者が出すゴミは大きな問題であり、対応が行われているものの、問題の解決には至っていません。
現在もゴミは降り積もり続けており、何トンものゴミを回収しようとしても、それ以上のゴミが積もり続けています。

政府は登山者に対して、自身の持ち物の他に8キロのゴミを持ち帰れば費用が減額される措置を施していますが、それでも山頂に積もるゴミの山は大きく、景観を損ねています。

専門チームがキャンプ地の清掃を行う

高地のキャンプ地の清掃を専門チームが行っています。
清掃を目的とした登山隊は、3トンものゴミを回収するなど、地道な活動を行っていますが、大きな効果は見られていません。
特に糞尿は川に流れ、山だけでなく広範囲に被害をもたらしています。

このような状況を受けて、登山隊はゴミの回収だけでなく、糞尿を肥料に変えるバイオプラントを設置するなどの計画を立てています。
技術的な解決策が見つかれば、ゴミ問題を解決する可能性もあります。

また、デス・ゾーンでの遺体回収も一部行われています。
デスゾーンでの遺体回収は非常に困難であり、ほとんど行われていません。
しかし、回収可能な場合やボランティアの手によって回収されることもあります。

回収が可能な場所でも、高額な費用がかかるため、通常の登山よりも遥かにコストがかかります。
そのため、ほとんど行われません。
また、エベレストを墓標と考える人も多いようです。

エベレストは観光ができる?


エベレストは観光地としても人気がありますが、登頂には死の危険が伴います。
しかし、登頂を目指さない観光では、死の危険が少ないエベレスト観光も楽しむことができます。

山である以上、完全に危険がないとは言えませんが、エベレスト観光は比較的安全で、事故も少ないようです。
安全にエベレストの景色を楽しみたい方にはおすすめです。

登頂に関する問題からは解放され、爽快な気分で過ごせるでしょう。

また、エベレスト街道ではトレッキングを楽しむこともできます。
エベレストに登る道のりとは異なり、特殊な技術は必要ありません。
なぜなら、この街道は地元の人々が普段から利用している道だからです。
つまり、未開の地を踏破するような冒険はありません。

エベレスト街道を歩けば、エベレストの壮大な景色だけでなく、現地の雰囲気も味わえます。
また、地元の人々の生活にも触れることができます。
登山だけでなく、知的好奇心も満たされるでしょう。

エベレスト虹の谷まとめ

虹の谷は、自然の脅威を感じさせる場所です。
そこは、自然との闘いに敗れ、命を落とした戦士たちの墓場でもあります。
人間が世界を制圧すると思われる知識や技術を持ってしても、死が依然として存在することは脅威です。
地上でも津波などの災害によって無力に倒れることがありますが、それを肌で感じることができるのがエベレスト登頂です。

もしも自然に打ち勝つ方法を見つけられたならば、エベレストの山頂ですら居住可能な場所となるかもしれません。
その時には、この虹の谷がその名の通りの美しい景色となることを望むばかりです。

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