栄養満点の「ツルムラサキ」について知ろう!
つるむらさきについて
つるむらさきは、東南アジアで長い歴史を持つ、非常に繁殖力の高い植物です。
その豊富な栄養価から、さまざまな料理で利用されており、おひたしや炒め物などが一般的です。
葉の形状や特徴は、ホウレンソウやモロヘイヤに似ています。
基本情報
・科名: ツルムラサキ科
・属名: ツルムラサキ属
・原産地: 東南アジア
・開花時期: 7月から10月
・花の色: 赤色
名前の由来
つるむらさきという名前は、その紫色の果実が染料として使われたことに由来します。
果実は秋から冬にかけて大量に収穫され、古代中国では特に重宝されました。
現在でも、食用色素などさまざまな用途に利用されています。
熱帯地方原産で、夏が旬のこの野菜は、β-カロテン、ビタミンC、カルシウムなど豊富な栄養素を含んでいます。
つるむらさきの栄養と効能
つるむらさきは緑黄色野菜で、バランス良くミネラルやビタミンK、食物繊維などが含まれています。
特に注目すべき栄養素を6つご紹介します。
ミネラル
つるむらさきは、ほうれん草の3倍のカルシウムを含み、骨の形成に不可欠です。
さらに、骨の弾力を維持するマグネシウムも豊富で、骨や歯にカルシウムを行き渡らせる役割を果たします。
免疫力を高める「β-カロテン」
ツルムラサキには100gあたり3,000µgのβ-カロテンが含まれています。
体内で必要な分だけビタミンAに変換され、目や皮膚の粘膜を健康に保ち、免疫力を高める働きがあります。
β-カロテンは緑黄色野菜に多く含まれており、ツルムラサキもその一つです。
肌の健康維持に欠かせない「ビタミンC」
100gあたり41mgのビタミンCがツルムラサキには含まれています。
ビタミンCはコラーゲン生成に重要で、細胞同士をつなぎ、骨・歯・皮膚・血管に存在します。
また、メラニンの合成を抑え、日焼けやシミ・そばかすの予防にも期待できます。
骨の健康を保つ「カルシウム」
ツルムラサキには100gあたり150mgのカルシウムが含まれています。
牛乳のカルシウム含有量は100gあたり110mgであり、ツルムラサキのほうが多く含まれています。
カルシウムは骨や歯の主要成分で、不足すると骨がもろくなる恐れがあります。
さらに、血液凝固や神経の興奮を抑える役割も果たします。
ビタミンK
つるむらさきはビタミンKが豊富で、野菜の中でもトップクラスの含有量です。
血液の凝固や骨の形成を促し、カルシウムの吸収を助けるため、健康な骨を保つのに重要です。
食物繊維
つるむらさきには、不溶性と水溶性の両方の食物繊維が含まれており、腸内環境を整え、肌荒れや便秘の改善に役立ちます。
つるむらさきの栄養成分
つるむらさき(生)100gあたりの栄養成分は以下の通りです。
栄養素 数値
エネルギー 11kcal
水分 95.1g
たんぱく質 0.7g
脂質 0.2g
炭水化物 2.6g
食物繊維 2.2g
カリウム 210mg
カルシウム 150mg
マグネシウム 67mg
ビタミンA(βカロテン当量) 3000μg
ビタミンK 350μg
ビタミンC 41mg
葉酸 78μg
参照:「日本食品標準成分表」
つるむらさきの種類
つるむらさきには「赤茎種」と「緑茎種」があり、それぞれ異なる特徴を持っています。
赤茎種
茎が紫色のつるむらさきで、ピンク色の花を咲かせ、紫色の実をつけます。
古くから日本では染料として使用されていました。
観賞用としても人気があります。
緑茎種
一般的に国内で見かけるつるむらさきで、鮮やかな緑色をしています。
赤茎種と比較して食味が良く、加熱すると粘り気が増し、しっかりとした食感が楽しめます。
つるむらさきの毒性について
つるむらさきには毒性があると誤解されることがありますが、実際には毒性はありません。
この誤解は、外見がよく似ている「モロヘイヤ」に起因しています。
モロヘイヤは特定の部分に毒性を持つため、購入時には両者を混同しないよう注意が必要です。
モロヘイヤの毒性について
市販のモロヘイヤは安全ですが、完熟期の葉や茎、種子には「ストロファチジン」という毒性成分が含まれています。
これはめまいや吐き気を引き起こす可能性があり、そのまま食べると危険です。
特に自宅で栽培する場合、完熟期のモロヘイヤには注意しましょう。
つるむらさきを食べる際の注意点
つるむらさきは栄養価が高い野菜ですが、「シュウ酸」を含んでいます。
シュウ酸は大量に摂取すると尿路結石やかゆみを引き起こす可能性があります。
したがって、適量を守って摂取することが大切です。
つるむらさきの栄養を活かす調理法
油を使った加熱調理
フライパンにサラダ油を注いで加熱する方法
つるむらさきに含まれるβ-カロテンは、体内でビタミンAに変わります。
このビタミンAは脂溶性で油とよく合うため、揚げ物や炒め物などの油を使う調理法が効果的です。
汁物にする
つるむらさきの豊富なビタミンCは水に溶けやすい特性があります。
茹でたり水にさらしたりするとビタミンCが流れ出てしまうため、味噌汁やスープに入れて汁ごと摂取するのが理想的です。
ビタミンDを含む食材との組み合わせ
カルシウムの吸収を助けるビタミンDを含む食材と一緒に摂取するのがポイントです。
ビタミンDはきのこ類やいわし、卵黄に多く含まれているため、これらの食材と組み合わせると効率的にカルシウムを吸収できます。
おいしいつるむらさきの見分け方と保存法
つるむらさきの見分け方
新鮮でおいしいツルムラサキを選ぶには、葉が濃い緑色で肉厚かつツヤのあるものを選びましょう。
また、茎の切り口がみずみずしく乾燥していないことも重要です。
変色した葉や、過度に成長したものは避けた方が良いでしょう。
つるむらさきの保存法
つるむらさきは乾燥に弱いため、冷蔵庫で保存する際には湿らせた新聞紙やキッチンペーパーで包み、野菜室で立てて保存すると良いでしょう。
この際、空のペットボトルの下側を切り取って使うのもおすすめです。
冷凍保存する場合は、まず硬めにさっと塩ゆでし、水気を切ります。
使いやすいように小分けし、ラップで包んでジッパー付きの保存袋に入れて冷凍庫へ入れます。
保存期間の目安は約1ヶ月です。
まとめ
つるむらさきは、ほうれん草や小松菜ほど一般的ではないかもしれませんが、健康に欠かせないβ-カロテンや、骨や歯の強化に必要なカルシウムなど、多くの栄養素を含んでいます。
スーパーで見かけたら、ぜひ試してみてください。
つるむらさきのおいしさに驚くことでしょう。
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