日本では、道端からオフィスまで至る所に自動販売機がある光景が日常的です。
この自動販売機には、新たな使い方が生まれています。
2021年10月に首都圏エリアで導入されたサントリー食品インターナショナルの「社長のおごり自販機」は、職場でのコミュニケーションを促進するためのアイテムとして登場しました。
社員証を2人同時にかざすと、自動販売機から無料で飲み物を手に入れることができます。
支払いは設置先の企業が負担しています。
このサービスは、2021年10月にサントリー食品インターナショナルが発表した「社長のおごり自販機」です。
2022年5月に全国展開される予定で、3月30日に首都圏でサービスがリニューアルされ、コロナ禍における社内のコミュニケーション不足を解消するために開始されました。
テレワークが一般化する中、コミュニケーション不足が顕著になっています。2022年2月の調査によると、テレワークのデメリットとして、社内コミュニケーションの減少と意思疎通の困難が挙げられました。
「社長のおごり自販機」は、このような状況に対処するために開発されました。
設置希望が全国から寄せられ、2022年5月に全国展開されることが決定しました。
目次
「社長のおごり自販機」とは
「社長のおごり自販機」の使用方法はまず、2人の社員が社員証を持って自動販売機に向かい、欲しい商品を選びます。
商品が決まったら、両方の社員が同時に社員証を自動販売機のセンサーにタッチします。
その後、10秒以内に商品ボタンを押すと、両者とも無料で飲み物を受け取ることができます。
このシステムの名前である「おごり」は、導入企業が飲料代を負担することに由来しています。
同じ組み合わせでは、1週間に1回しか使用できず、使用できる時間や曜日も導入企業ごとにカスタマイズできます。
ただし、10秒の制限時間に関しては変更できないようにしているようです。
また、リニューアルでは、社員証がなくても専用のカードを使用することで飲み物を無料で購入できるようになり、購入回数の上限や時間帯の制限を特定の社員に対して設定することも可能になりました。
「社長のおごり自販機」の名称の由来
新しい自動販売機の名前は「社長のおごり自販機」という独特の名称です。
開発チームによると、最初は「KANPAI自販機」など、他の名前も検討されていましたが、実際に自販機のテストをしているときに、多くの人が「社長!ごちそうさまです!」と言ったことから、このネーミングのアイデアが生まれたそうです。
また、コロナの影響で自販機の需要が減っている現状から、開発チームは、どこにでもあって、だれでも利用できる自販機の価値を活かし、職場の幸福感を高める機会を提供したいという考えもありました。
そのため、「社長のおごり自販機」のサービスがスタートしました。
「社長のおごり自販機」を使うことで、他の社員を誘って一緒にジュースを飲んで戻るまでの3~5分間の雑談時間が生まれます。
これにより、社員同士の新たなコミュニケーションが生まれ、仕事の効率向上にもつながると期待されています。
この自販機の名前は、必要に応じて「工場長のおごり」や「院長のおごり」、「オーナーのおごり」と変更することもできます。
「社長のおごり自販機」導入には初期費用や月額費用はかかりませんし、企業ごとにカスタマイズすることも可能です。
また、無料になる上限数や特定の組み合わせでの利用回数などを設定することもでき、毎日同じ人たちが無料で利用することを防ぐ仕組みもあります。
要するに、無料で飲み物をたくさん飲むためには、より多くの人と交流する必要があるということです。
会社が「無限カード」を提供
会社は導入された企業にデータを提供しています。
このデータには、カードの利用状況などが含まれます。
そのやりとりの中で、予想外の利用方法に気づくこともあるようです。
たとえば、「来週は営業と総務のペアで」や「利用する前にお互いの好きな食べ物を紹介して」といったお題を設定し、雑談を促進している企業もあります。
一部の企業は、社員証とは別に、利用回数に制限のない「無限カード」を提供しています。
これらのカードは、上司ではなく新入社員に配布され、コミュニケーションのきっかけ作りに役立っているとのことです。
また、企業に限らず、賃貸マンションの入居者向けや、病院スタッフ向けなどでも導入されています。
ある病院では、「来院回数に応じてスタンプをためるなどして、患者さんも利用できるようにしたい」との構想がありました。
2022年5月からは、全国に展開が広がり、導入企業数は2年間で360社を超え、設置台数は約500台に達しました。
おそらくですが、サントリーでもここまで「社長のおごり自販機」の導入企業が増えるとは思っていなかったのでは無いでしょうか。
当初は社内のコミュニケーション不足を解消するために開発されたようですが、2023年より物価上昇が激しいのも関係していると個人的には思います。
今では飲料水によっては150~160円も珍しくなくなりました。
以前は、100円以下も珍しくなかったというのに・・・と少し話は脱線しました。
この自販機は、単なる飲料の提供機械ではなく、利用者との特別な接点を提供することをコンセプトとしています。
そのため、サントリーは法人向けの経営課題解決に焦点を当てたサービスを展開し、好評を得ています。
昨年12月に行われた取材で、SBFジャパン戦略企画本部部長の川村崇氏は、「今年は法人営業を強化し、『社長のおごり自販機』を含む『ボスマート』や『SUNTORY+(サントリープラス)』などのサービスの組み合わせが成果をもたらしています。」と述べています。
今後も、「社長のおごり自販機」は法人営業の中心的な役割を果たし、特に反響の大きかった商品として重要視されるでしょう。
新しい自動販売機の登場
今回の発表では、社長のご厚意により、自動販売機の機能が拡張され、新しい使用方法が提案されました。
余剰スペースを利用して、自動販売機の隣などにお菓子やカップ麺などの軽食を設置し、「ボスマート」という新しいサービスを展開します。
(出典元:ボスマート)
このサービスは、飲み物以外の商品を自動販売機で購入できるようにするもので、2021年時点で既に8000台のテスト導入が行われています。
ボスマートとはお菓子はもちろん、パンやカップラーメンなどの売れ筋商品を用意し自販機で決済できるので最速3秒完結。
もちろんお釣りもでます!今流行りのICカード対応機もあるそうです。
従業員は外出せずに手軽に軽食を手に入れることができ、企業は出入業者を増やさずに資金管理が可能です。
補充、在庫、代金管理はすべてサントリー食品インターナショナルの担当者が行います。
この機能は無人販売所とほぼ同じですが、自動販売機と軽食の販売スペースのみで済むのが特長です。
また、「DAKARA給水所 自動販売機」という新しいサービスも発表されました。
このサービスでは、カードでの支払いが可能で、熱中症対策などにも役立ちます。
カードごとに利用状況を確認できるだけでなく、購入対象商品の指定や購入可能な曜日、時間の指定など、カスタマイズが可能です。
このサービスは、特に夏場や高温環境で作業する従業員向けに開発されました。
熱中症対策だけでなく、スポーツドリンクによる糖分の摂り過ぎなど、従業員の健康管理を自動販売機を通じて行うことができます。
自動販売機市場の将来展望は?
最近の発表では、企業のニーズに焦点を当て、「コミュニケーション」「生産性向上」などの解決策を提供することで、自動販売機市場の回復が議論されました。
今のところ「社長のおごり自販機」のデメリットは見当たりません。
新型コロナウイルスの影響でオフィスの利用が減少し、かつてからの自動販売機市場の縮小が顕著になっています。
市場シェアを拡大するためには、飲料販売に特化したビジネスモデルだけでは限界があるかもしれません。
将来の自動販売機市場について、サントリー食品インターナショナルのVM事業本部マーケティング部長である須野原剛氏は次のように述べています。
「過去のように自販機の数を無制限に増やすことはできない状況です。
ですから、SDGsの観点からも、各自販機の効率を重視することが重要だと考えています。」
自動販売機業界はすでに縮小しており、新型コロナウイルスやSDGsの影響でさらに変化しています。
今後、個々ではなく法人向けの高品質なビジネスモデルが自販機市場だけでなく普及していくのでしょうか。
確かに飲料水の自動販売機は縮小傾向ですが、冷凍食品自動販売機「ど冷えもん」の登場により色んなジャンルの冷凍食品が販売されるようになりました。
調べた限り2022年7月末で販売台数4,000台、その後2022年12月末で6,000台を販売とあるので、わずか5ヶ月で2,000台を販売したことになります。
その後のデータが調べても出てこないので分かりませんが、冷凍自販機ブームと言うことでおそらくは10,000台は超えていると思われます。
まとめ
コロナ禍でのテレワークの導入により自動販売機の需要は減りましたが、逆に人と接触しないで色んな食べ物が購入できる冷凍自販機は増えていっています。
賛否両論ある(窃盗被害)無人販売所も増えました。
この勢いはどこまで続くのか楽しみですね。
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