最近何かと話題の【アニサキス】は焼き魚にすれば大丈夫?シメサバならOK?

最近良く目にする記事に【アニサキス】が原因で食中毒を起こすという記事を見掛けることが多くなりました。写真は生々しいので今回は敢えてイメージ図を掲載します。(画像は拡大表示できます)

【アニサキス】は寄生虫(アニサキス亜科に属する線虫の総称がアニサキス)の1種です。
上の図のように幼虫(正確には第3期アニサキス幼虫)は、長さ2~3cm、幅は0.5~1mmくらいで、半透明の少し太い糸のように見えます。


【アニサキス】の成虫は長さは10数センチほどと言われています。(アニサキスアレルギー協会より)
それほど大きく成長するために【アニサキス】の成虫はクジラやイルカと言った大きな魚(正確にはどちらも哺乳類)でしか成長できません。

ただ図のように実際【アニサキス】には口は無く「胃を食い破ることはありません」
よく記事で「胃や腸の壁に食らいつき」という表現がありますが正確ではなく、胃の内壁や腸の壁に侵入することで【アニサキス】中毒症になります。(ただし人によっては無症状の人もいるらしいです。)

正確には

肉眼では確認できませんが、アニサキスの頭にはナイフのような鋭利なパーツがあります。アニサキスは宿主の組織内に入り込もうとする性質があるので、人間の体内に入ると、暴れながらナイフのような器官を使って消化管の壁に潜り込もうとするんですね。
(引用元:アニサキスアレルギー協会)

と言うことです。

【アニサキス】の症状は寄生した場所(部位)によって『胃アニサキス症』・『腸アニサキス症』・『腸管外アニサキス症』と分かれていますが、基本は『胃アニサキス症』が90パーセント以上と(内閣府食品安全委員会より)ありますがデータは2014年12月9日のものなので、今では多少比率は変わっているかもしれません。

『急性胃アニサキス症』は寄生した魚介類(特に生魚や刺身)を食べて数時間から数十時間後に胃『みぞおち』の激しい痛みや吐き気や嘔吐(おうと)の症状があわられるようです。

『急性腸アニサキス症』は十数時間に激しい下腹部の痛み及び腹膜炎症状を伴うようです。(どちらも厚生労働省及び内閣府食品安全委員会発表)

基本的に感染後3週間以内自然に消化器官内から消失するようです。

とは言えもし『急性胃アニサキス症』や『急性腸アニサキス症』かかってしまったら、一番はクリニックでの診療が一番です。『急性胃アニサキス症』は「胃カメラ」で【アニサキス】を取り除くことが出来ます。

同様に『急性腸アニサキス症』は「大腸内視鏡検査」で取り除くことが出来ます。

ここまで有名な【アニサキス】症ですが治療薬はまだ無いようです。

一方で、2021年7月に『正露丸』が特効薬になるとの論文が発表されています。

ただ

この研究結果はシャーレの中での実験(in vitroの実験)結果であり、正露丸やその成分は、まだアニサキス症治療薬として薬事法で認可されていません。(引用元:論文ナビ)

とあるように薬事法で認められていないので注意が必要です。気になる方は『論文ナビ』を見てください。

予防法としては【アニサキス】は60℃で1分、70℃以上で瞬時に死滅します。
【アニサキス】は冷凍では死なないとネット上で見掛けますが、冷凍処理により
アニキサス幼虫は感染性を失うので、魚を-20℃以下で24時間以上冷凍することは有効です。
(いずれも内閣府食品安全委員会公表)

そして厚生労働省でも・-20℃で24時間以上冷凍すると感染性が失われる。
と公表してますが、加熱処理のように「死滅」ではなく「有効」という表現のため【アニサキス】は冷凍では死なないと考える人も多いのではないでしょうか?

ただ、酸には抵抗が性があるので、シメサバのように一般的な料理で使う食酢での処理、塩漬け、しょうゆやわさびでは、アニサキス幼虫は死滅しませんと公表されています。

なのでシメサバなら大丈夫と言うのは間違いになります。

それなら【アニサキス】は焼き魚なら大丈夫かと言えば、上記にあるようにきちんと加熱処理すれば大丈夫です。
ただ【アニサキス】は魚の内部にいるため表面だけではなく、中心までしっかりと加熱処理すれば【アニサキス】は焼き魚だと大丈夫といえます。


【アニサキス】が多く報告される魚は「サバ」や「サンマ」の報告が多いですが、今ではアジ、、カツオ、イワシ、サケ、イカの青魚だけでなくサーモンや、ヒラメといった白身魚も報告されています。

他にもイナダ、キンメダイ、ヒラメ、ブリ、ハマチ、タラ、メジマグロも内閣府食品安全委員会では報告されています。

特に農林水産省から アニサキス科線虫は、日本近海の魚介類165種以上から検出されている。
とあるようにどの魚でも注意が必要でしょう。

さて冒頭で【アニサキス】食中毒は第3期アニサキス幼虫によるものと書きました。
理由は下記の図を見れば分かるかと思います。(画像は拡大表示できます)

(出典元:内閣府 食品安全委員会)

上記は内閣府食品安全委員会が公表したずですが、農林水産省でも【アニサキス】の生活環として

① 海水中で卵がふ化する(第1~3期幼虫)。

② 第1~3期幼虫が中間宿主(オキアミ)に食べられる(第3期幼虫)。

③ 中間宿主(オキアミ)が待機宿主(海産魚介類)に食べられる(第3期幼虫)。

④ 待機宿主(海産魚介類)が終宿主(クジラやイルカ、アザラシなどの海産ほ乳動物)に食べられると、第3期幼虫は第4期幼虫を経て成虫となり、終宿主の腸管に寄生し産卵する。

⑤ 終宿主(海産ほ乳動物)のふん便と共に、卵が海水中に散布される。
(引用元:農林水産省)

とあるので説明は不要かと思います。
ただ、最近では【アニサキス】食中毒で第4期幼虫アニキサスも報告されているようです。

以前から【アニサキス】食中毒は報告されていましたが、最近は記事になることで認知されるようになったのかもしれません。

後、気を付けたいのはサバを食べると蕁麻疹(じんましん)が出る人は、サバによるアニサキスの幼虫が原因との報告もあります。

更には【アニサキス】食中毒が重症化すると血圧が下がったり、意識がなくなったりするアナフィラキシーショックを引き起こした事例も報告されています。

サバの蕁麻疹(じんましん)にアニサキスの幼虫が原因の可能性や【アニサキス】食中毒のアナフィラキシーショックなど知らなかった人も多いのでは無いでしょうか?

今一度、きちんと【アニサキス】を知る必要がありそうですね。

今回の記事は下記の<参考文献>を元に書きました。

<参考文献>
厚生労働省
一般社団法人 アニサキスアレルギー協会
内閣府 食品安全委員会
国立感染症研究所
魚食普及推進センター

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