「イモリ」と「ヤモリ」の違いについてご存知ですか?
イモリとヤモリは、名前や外見はとても似ていますが、生態には大きな違いがあります。
愛らしい外見を持っていて、突然出くわすと驚くことがあります。
今回はイモリとヤモリの見分け方、特徴、および追い出し方について紹介します。
「イモリ」はお腹が赤く、「ヤモリ」は赤くありません。
日本では、通常「イモリ」と呼ばれるものは「アカハライモリ」を指し、一般的に「ヤモリ」とは「ニホンヤモリ」を指します。
外見が似ているため、見分けがつかないことがありますが、大きな違いはお腹の色にあります。
アカハライモリは鮮やかな赤いお腹が特徴で、ひっくり返すとはっきりと見分けることができます。
一方、ニホンヤモリのお腹は赤くなく、全身がベージュや灰色のような色をしています。
お腹の色でイモリとヤモリを識別することができます。
イモリとヤモリの違いポイント7つ
違いを見分けるポイント イモリ(アカハライモリ) ヤモリ(ニホンヤモリ)
①生物の分類 イモリ:両生類 ヤモリ:爬虫類
②生息地 イモリ:水辺や水中 ヤモリ:陸上(家の周辺)
③足の指の数 イモリ:前足4本、後ろ足5本 ヤモリ:前後ろとも5本ずつ
④うろこ イモリ:うろこは無い ヤモリ:全身にうろこがある
⑤まぶた イモリ:まぶたがある ヤモリ:まぶたが無い
⑥指の爪 イモリ:爪は無い ヤモリ:爪がある
⑦大きさ イモリ:10~14cm程度 ヤモリ:8~10cm程度
イモリの生態
イモリはカエルやサンショウウオと同じく「両生類」に属します。
幼体はオタマジャクシのような姿で水中で呼吸しますが、成熟すると肺呼吸と皮膚呼吸に切り替わります。
イモリは鱗がなく、柔らかい皮膚が粘膜で覆われています。
常に濡れているため乾燥しません。浅い水辺に多く生息し、池や水田、沼でイトミミズや魚卵など小さな生物を食べながら暮らしています。
イモリは「井守」とも呼ばれ、水のある場所の害虫を食べてくれます。
また、イモリには毒性があり、フグと同じテトロドトキシンを持つことが知られています。
脅威を感じるとわざとお腹を見せ、毒をアピールして敵を警戒させることがあります。
毒性は弱いですが、イモリに触れた場合は手を洗い、目や口に触れないように注意が必要です。
イモリは尾や足を失っても再生する能力があります。
ヤモリの生態
ヤモリは「爬虫類」に分類され、蛇やトカゲの仲間です。
卵は殻に包まれ、幼体は親に似た姿をしています。家の周りだけでなく、公園や神社の周辺でも見かけることがあります。
日中は隠れていることが多く、猫のような縦長の目を光らせて夜間に活発に昆虫を捕まえます。
ヤモリは「家守」とも呼ばれ、家にいる害虫を食べてくれるため、古くから「神様の使い」とされ、縁起が良い生き物とされています。
ヤモリの指は吸盤のようになっており、垂直な壁や窓ガラスにピタッと張り付くことができます。
乾燥した場所を好み、水辺は苦手です。
ヤモリは尾が切れても再生することができ、敵に襲われた際に自ら尾を切り離して逃げることがあります。
また、両生類と爬虫類の区別も覚える方法があります。
まず、両生類と爬虫類の大まかな違いは、「両生類は皮膚呼吸、爬虫類は肺呼吸」という点です。
つまり、皮膚が湿っているかどうかがポイントとなります。
湿っている方が「両生類」です。
その次に、漢字表記を覚えます。
イモリは漢字で「井守」、ヤモリは「家守」と書きます。
この漢字表記を覚えることで、イモリが水の中に棲んでいて井戸を守る存在であり、ヤモリは家の中に棲んでいて家を守る存在であると理解できます。
この二つのポイントを考慮すると、「皮膚呼吸をするため、体を湿らせて井戸に棲んでいる『井守(イモリ)』が両生類であり、皮膚呼吸を行う必要がないため、乾燥している家の中に棲んでいる『家守(ヤモリ)』が爬虫類」という結論が導かれます。
ただし、この説明は絶対的なものではなく、両爬には例外が存在することに注意してください。
イモリやヤモリの追い出し方
爬虫類(イモリやヤモリ)を排除する方法について説明します。
イモリは通常、家の中に侵入しないため、水辺に生息するものは家の中に入ることはありません。
そのため、イモリは追い出す必要はありません。
水田や用水路の近くに生息しており、屋外で見かけることがあります。
イモリに対して懸念がある場合は、専門業者に駆除相談をすることができます。
一方で、ヤモリは家の中に侵入する可能性があります。
ヤモリはゴキブリやクモ、ハエ、蛾などの小さな害虫を食べる益獣ですが、家の中での糞や尿は問題となります。
見かけた場合は、注意して捕まえ、生きたまま外に追い出すことが望ましいです。
ヤモリは尾を自切して逃げることがあるため、ホウキや棒を使用せず、新聞紙を利用して追い出す手順があります。
家からヤモリを追い払う方法
ヤモリは縁起が良いとされていても、見た目が苦手で受け入れがたいと感じる人もいます。
その場合、ヤモリを家から追い出す必要があります。
ただし、ヤモリは夜行性で昼間は家の中に隠れていることがあります。
夜中に家中で活動しないようにするために、まずはヤモリを引き寄せましょう。
そのために、夜になったら電気をつけるのが効果的です。
ヤモリは夜に行動し、電灯周りに集まってきて昆虫を食べます。
ヤモリを追い出すための4つの方法
①新聞などで周りを叩いて追い払う
ヤモリは見た目が苦手な人も多いですが、縁起物とされているため、できれば殺さずに逃がしたいと思うでしょう。
一般的な方法として、近くで音をたててヤモリを追い払うことがあります。
ヤモリは臆病な性格なので、大きな音に驚いて逃げ出すことがあります。
これを利用して、ヤモリが窓の外に逃げるまで壁をたたいて追い払いましょう。
これにより、ヤモリに触れずに逃がすことができます。
②虫取り網を使用する
新聞で壁をたたいてもうまく窓に誘導できない場合、手っ取り早い方法は虫取り網を使用することです。
虫取り網でヤモリを捕まえ、そのまま窓の外に放してください。
虫取り網は柄が長いため、ヤモリが苦手な人でも近づくことなく捕まえることができます。
また、手の届かない天井などの場所にいるヤモリにも有効です。
ただし、ヤモリは臆病なので慎重に近づくことが重要です。
音に驚いて隅に隠れないように、静かに近づいて捕獲しましょう。
③殺虫剤を利用する
殺虫剤は虫を駆除するための一般的なアイテムですが、あまり知られていませんが、殺虫剤は爬虫類にも効果があります。
殺虫剤には一般的に「ピレスロイド」と呼ばれる有効成分が含まれており、これが虫や爬虫類の神経を麻痺させて最終的に死に至らせます。
臆病ですぐ逃げてしまうヤモリを確実に捕まえて駆除したい場合、殺虫剤は効果的です。
ただし、死んだヤモリを処分する必要があるため、それが苦手な場合は注意が必要です。
④ネズミ捕りの粘着シートを利用する
ネズミ捕り用の粘着シートでもヤモリを捕まえることができます。
粘着シートの良いところは、置いておくだけで1枚で数匹を捕まえられることです。
ヤモリを見つけるたびに駆除する手間を考えると、忙しい人でも効率的に駆除できる方法といえるでしょう。
ただし、粘着シートも殺虫剤と同様に後処理が難しい場合があります。
シートにヤモリの死骸がびっしりとついていることもあるため、それを処理できるかどうか注意が必要です。
一部のシートは死骸を見ずに捨てられるものもあるので、上手に利用しましょう。
ヤモリを寄せ付けないための対策3つ
ヤモリが家に入ってしまった場合は、先述の方法で追い出せますが、ヤモリを寄せ付けたくないと考えることもあります。そもそもヤモリを家に入れないためには、以下の3つの対策が役立ちます。
①侵入経路をふさぐ
ヤモリが家の中にいるということは、ヤモリが入るほどの隙間があるということです。
そのため、ヤモリの侵入経路となる隙間を徹底的にふさぐことが有効です。
窓や扉に穴や隙間がある場合は、丈夫なテープなどでふさぎましょう。
換気口やエアコンの室外機などの隙間も見逃しがちな部分です。
ふさぐと支障が出る部分には目の細かい網を設置するのがおすすめです。
②エサとなる虫を発生させない
ヤモリは虫を食べるために家に侵入します。
その元となる虫を駆除することがヤモリを寄せ付けない対策にもつながります。
ゴキブリやシロアリなどは家にとっても百害あって一利なし。
こまめな清掃を心がけ、シロアリ予防のためのメンテナンスをしておくと安心です。
家に住み着く害虫をなくし、ヤモリも寄せ付けない家にしましょう。
③蚊取り線香をたく
夏の風物詩である蚊取り線香は、蚊を寄せ付けないためのものですが、蚊取り線香に含まれるピレスロイドはヤモリにも効果的です。
そのため、ヤモリが侵入しやすい庭先などに設置しておくと良いでしょう。
また、人の出入りがあるため完全に隙間をふさぐことが難しい玄関先にも蚊取り線香を置いておけば、人の出入りを妨げることなくヤモリの侵入を阻止することができるでしょう。
まとめ
イモリとヤモリの見分け方や特徴、飼育方法、そして排除手順について紹介しました。
これらの生物は可愛らしい顔をしていますが、家の周りで突然出くわすと驚くかもしれません。
どちらも害虫を駆除してくれる益獣であり、人に害を与えることはありません。
見かけても無視せず、追い出すかどうか検討してください。
苦手な場合は、専門業者に相談することもできます。
下記のサイトで相談してみるのも良いでしょう。
コメント