冬の寒い時期でも、暖かい部屋でアイスクリームを楽しむ人が増えています。
一見すると、牛乳をたっぷり使用していて健康に良さそうに見えるアイスクリームですが、特にラクトアイスについては気を付ける必要があります。
ところで、「ラクトアイスって何?」と思う方も多いでしょう。
アイスクリームを食べようと成分表示を確認すると、商品の名称が異なることに気付くかもしれません。
それぞれの違いが気になるところです。
目次
そこで今回は
・ラクトアイスとは何か?
・他にはどんな種類があるのか?
・ラクトアイスは体に悪いのか?
これらの点について調べてみました。
アイスクリームの種類についても詳しく調べましたので、今後アイスを選ぶ際の参考になるかもしれません。
最後までお読みください。
ラクトアイスとは
アイスクリームは乳固形分と乳脂肪分の含有量によって分類されます。
その中でラクトアイスとは、乳固形分が3.0%以上含まれているものを指し、乳脂肪分についての明確な規定はありません。
このため、ラクトアイスの多くは牛乳の代わりに植物性油脂が使われています。
なお、「ラクト」はラテン語で「乳」を意味する「lac(lacto)」に由来しています。
ラクトアイスの特徴について
ラクトアイスの特性を以下にまとめました。
手頃な価格
ラクトアイスは乳脂肪分を使用していないため、他の種類のアイスクリームに比べて安価に提供されることが多いです。
多様なバリエーション
ラクトアイスは乳固形分や乳脂肪分の代わりにさまざまな成分を使用できるため、幅広いジャンルのアイスクリームを作ることが可能です。
アイスクリームのラベルを確認してみると、意外と多くのラクトアイス商品があることに気づくでしょう。
お気に入りのアイスも調べてみてください。
アイスクリームの種類と特徴
コンビニやスーパーで販売されているアイスは、大きく分けて以下の2種類があります。
・アイスクリーム系
・氷菓系
氷菓系は氷菓は乳固形分が3.0%未満と非常に少なく、ミルクの風味がほとんどありません。
これは、氷に近いアイスです。
例えば、カップに入ったかき氷や果汁を凍らせたアイスキャンディーなどが氷菓に該当します。
一方、アイスクリーム系はさらに3つのカテゴリに細分化されます。
種類 乳固形分 乳脂肪分
アイスクリーム 15%以上 8.0%以上
アイスミルク 10%以上 3.0%以上
ラクトアイス 3%以上 なし
乳固形分や乳脂肪分が多いほど、口当たりが良く、滑らかで、コクやミルクの風味が豊かになります。
以上のように、種類ごとに乳固形分と乳脂肪分に明確な違いがあります。
乳固形分と乳脂肪分の違い
乳製品には、水分以外の成分全体を指す「乳固形分」と、その中の脂肪部分を指す「乳脂肪分」が含まれています。
乳脂肪分は、バターやクリームの主成分です。
無脂乳固形分について
乳脂肪分以外の乳固形分は「無脂乳固形分」と呼ばれ、脱脂粉乳などがこれに該当します。
アイスクリームの種類と特徴
・アイスクリーム:乳固形分と乳脂肪分が豊富で、ミルクの濃厚な風味を楽しめます。
・ラクトアイス:乳固形分が少なく、乳脂肪分もほとんど含まれていないため、ミルク感が薄いです。
・アイスミルク:アイスクリームとラクトアイスの中間に位置するものです。
・プレミアムアイスクリーム
プレミアムアイスクリームは、通常のアイスクリームよりも乳固形分や乳脂肪分が多く含まれており、空気含量が少ないため、濃厚なミルク感と高級感があります。
ただし、成分に関する法的な規格は特に設けられていません。
アイスクリームとラクトアイスの違い
その違いは乳固形分と乳脂肪分の含有量の違いです。
アイスクリームには乳脂肪分がたっぷり含まれていて、ラクトアイスにはほとんど含まれていません。
・アイスクリームはミルクがたっぷり含まれている食べ物
・ラクトアイスは砂糖・油・添加物でアイスクリーム風にした食べ物
といえば分かるでしょう。
アイスクリームとは、乳固形分と乳脂肪分のバランスによって味わいや風味が決まります。
一方、ラクトアイスは氷菓子を含めた総称であり、その区分けは乳固形分と乳脂肪分の含有量によって行われます。
この違いは価格やカロリーなどにも影響を与えます。
ラクトアイスのリスク!おすすめしない理由とは?
以下は「ある人気のラクトアイス バニラ味」の原材料表示です。
<原材料>砂糖、植物油脂、乳製品、果糖、卵黄、乳等を主要原料とする食品、デキストリン、食塩、香料、乳化剤、安定剤(増粘多糖類)、着色料(アナトー、カラメル)
次に「ハーゲンダッツバニラ」の原材料表示を見てみましょう。
クリーム、脱脂濃縮乳、砂糖、卵黄/バニラ香料
これを比較すると、大きな違いが見られます。
原材料表示は、含有量が多い順に記載されることが義務付けられています。
まず、このラクトアイスについて指摘したいのは「バニラ味なのに、原材料にバニラが含まれていないこと」です。
恐らく香料がバニラの役割を果たしているのでしょうが、本来はバニラそのものが含まれているからこそ「バニラアイス」と呼ばれるべきです。
ハーゲンダッツバニラもバニラそのものではなく、バニラ香料を使用している点で微妙なところがあります。
本来のバニラアイスであれば、白いアイスの中に黒い小さな粒(バニラビーンズ)が入っているものです。
話を戻しますと、このラクトアイスで最も多く含まれているのは「砂糖」です。
これだけでも健康に良くないことが分かりますが、2番目に多いのは「植物油脂」です。
ラクトアイスの成分と健康について
ラクトアイスは、砂糖と油を多く含む製品です。
「植物性」という言葉を聞くと「健康に良さそう」と感じるかもしれませんが、実際には「サラダ油」を指しています。
サラダ油は健康に悪影響を及ぼす可能性があることをご存じですか?以下の問題点があります。
・危険とされる溶剤の使用
・製造過程で発生するトランス脂肪酸や有害物質
・遺伝子組み換え原料の使用
・オメガ6脂肪酸(リノール酸)の過剰摂取
しかし、ラクトアイスにはトランス脂肪酸が含まれていないとの調査結果もあります。
ラクトアイスにトランス脂肪酸は含まれていない?
農林水産省の平成26・27年度の調査によれば、ラクトアイスにはトランス脂肪酸が含まれていないというデータがあります。
平成17・18年の調査では含まれていましたが、再調査ではゼロとなっています。
実は、トランス脂肪酸はアイスミルクやアイスクリームに多く含まれています。
これは、牛乳に天然のトランス脂肪酸が含まれているためです。
アメリカなどで規制されているトランス脂肪酸は、植物性食用油の生成過程(水素添加)や加熱で生成される人工的なものです。
天然のトランス脂肪酸には規制がありません。
したがって、ラクトアイスにトランス脂肪酸が含まれているから危険だというのは誤解です。
今回の調査でトランス脂肪酸がゼロになったのは、メーカーの努力の結果かもしれませんが、植物油脂としてパーム油を使用している可能性も高いです。
パーム油はスーパーなどではあまり見かけませんが、消費量では菜種油や大豆油に次ぐ第2位です。
パーム油とは
パーム油は、アブラヤシの実から得られる植物油です。
食用油としては、マーガリンやチョコレートに使用され、また、せっけんや化粧品、医薬品の成分としても活用されています。
コンビニエンスストアの商品のおよそ60%にこの油が含まれているとされています。
日本人は年間で1人あたり約5キログラムのパーム油を消費していると推定されています。
ココナツ油と混同されがちですが、パーム油は異なるものです。
このように様々な加工食品には、サラダ油だけでなくパーム油も含まれています。
実は、大手食品会社の「明治」は、トランス脂肪酸を低減するためにパーム油を使用した新しいブレンド油脂を開発しました。
一部の人々は、トランス脂肪酸が少ないため、パーム油は健康に良いと考えているかもしれません。
しかし、先ほども説明しましたが以前は石けんや洗剤、化粧品などの原料として使用されていたことからもわかるように、パーム油は食用に適していないとされていました。
しかし、近年の技術の進歩により、食用としても使用されるようになりました。
このような食用油が健康に良いかどうかは、疑問が残るところです。
結局のところラクトアイスは体に悪いのか?
結論から言うと、ラクトアイスが体に悪いわけではありません。
ただし、過剰摂取は健康に悪影響を与える可能性があります。
ラクトアイスに含まれる植物性油脂には上記で説明したようにトランス脂肪酸が含まれています。
この脂肪酸を摂りすぎると、ガンや脳卒中、動脈硬化などの生活習慣病のリスクが高まることが知られています。
また、なめらかさを出すためにアイスクリームには乳化剤や安定剤が多く含まれていますが、これも過剰摂取は健康に害を及ぼす可能性があります。
そのため、アイスクリームを積極的にたくさん摂取することは控えるべきです。
アイスクリームのカロリーについて知っておきたいこと
アイスクリームにはさまざまな種類がありますが、中でもラクトアイスはカロリーが高い傾向があります。
これは、乳脂肪分が少ないため、代わりに植物油脂などが加えられているためです。
更にはラクトアイスには砂糖も使用されています。
そのため、ダイエット中や糖質を気にされる方は、ラクトアイス以外のアイスを選ぶことをおすすめします。
何が一番食べても害が少ない?
アイスクリームや氷菓の中で、栄養的にも害が少ないのは、アイスクリームと氷菓です。
アイスクリームは規制で乳脂肪以外の脂肪の添加が禁止されており、余計な成分が入っていません。
また、氷菓は果汁を凍らせただけのものなどで、体に害は少ないです。
健康に気を使う場合は、アイスの表示を確認し、成分なども注意すると良いでしょう。
1日にどれくらい食べて良い?
厚生労働省のガイドラインによると、1日の間食で摂取するカロリーの目安は約200kcal(健康的な成人の場合)です。
したがって、1日にラクトアイスを約1個食べることが目安となります。
体に悪いとされるラクトアイスが売れる理由
最近、健康に良いと注目されている亜麻仁油やえごま油、エキストラバージンオリーブオイルなどの健康油は使用されず、代わりにサラダ油やパーム油などの低品質な油が使われています。
それでもなぜ、ラクトアイスなどの商品が販売されているのでしょうか?その理由は、乳製品よりも植物油脂の方が安価で大量生産が可能なためです。
安く販売して有名人がCMで「おいしい!」と言えば人気が出ます。
消費者は安価にラクトアイス(実際はアイスクリーム)を購入できるため、売れるのです。
価格はアイスクリームよりも半分以下ですが、内容量は1.5倍程度あります。
そのため、ラクトアイスは安く製造できるのです。
大手メーカーはラクトアイスだけでなくアイスミルクやアイスクリームも製造していますが、違いを明確にする必要があります。
ただし、ラクトアイスをアイスクリームのような見た目や風味にする技術は素晴らしいと言えます。
まとめ
この記事では、アイスクリームや氷菓など、体に害が少ないアイスの種類についてまとめました。
アイスはアイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、氷菓に分類され、それぞれの特徴や成分の割合が異なります。
特にラクトアイスは安価で種類も多いですが、植物性油脂や乳化剤、安定剤が含まれており、摂りすぎると体に悪影響を及ぼす可能性があります。
カロリーも高く、太りやすい傾向があります。
したがって、体に良いアイスを選ぶ際は、表示を確認することが大切です。
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