ぎょうざの満洲はなぜ人気店なのか?メニューを紹介しながらその秘密を紹介します。

異国のルーツを持つ料理が日本で受け継がれ、変容して国民的な食べ物となった例は数多くあります。


その中でも、「焼き餃子」は幅広い年齢層に愛されている料理でしょう。

日常的に楽しめる、家庭的な味わいを提供する「ぎょうざの満洲」の餃子。2018年からは豚の脂身を3割削減し、赤身を増やしています。

(出典元:ぎょうざの満州

今回は「ぎょうざの満洲」が着実な経営を続けている事例を紹介します。

焼き餃子を主力商品とする複数のチェーンが存在し、これらはコロナ禍でも着実に販売を伸ばし、いくつかは新たなビジネスチャンスを見出しています。

■餃子チェーンがコロナ禍で成功した背景

まず、餃子の強みはその客層の広さと、ランチやディナー、飲み会といったさまざまなシーンでの利用が可能な点です。

テイクアウトしても味が損なわれにくく、一部の店舗はコロナ禍以前からテイクアウトに対応していました。

更に、調理段階で市販品として提供できることもあります。
これらが、餃子チェーンがコロナ禍で成長できた理由でしょう。

ぎょうざの満洲は全国に102店舗を展開しています。規模は餃子の王将(731店舗、10月末時点)や大阪王将(461店舗、8月末時点)に比べれば小さくなりますが、知名度では負けていません。

埼玉県発のご当地チェーンで、ぎょうざの満洲の全店舗は直営です。店舗展開は主に埼玉県と東京都の西部に集中しています。

■ぎょうざの満洲の店舗数

各地域のぎょうざの満洲の店舗数は以下の通りです。

東京都:35 埼玉県:50 群馬県:6 神奈川県:1 大阪府:8 兵庫:2

全国規模のチェーンと比較して不利な条件にも関わらず、インターネット上の人気店ランキングでは高評価を受けていることが多いです。

その理由の一つは、創業60年の老舗であることでしょう。また、店名に「ぎょうざ」を冠し、専門性を打ち出していることも、餃子好きな顧客にアピールしているようです。

他にも、なぜこのチェーンが多くの人を引きつけるのでしょうか。

■「何度でも食べたくなる」ぎょうざの満洲の餃子

まず、ここではぎょうざの満洲のメニューと価格を紹介していきます。
※価格は2023年11月12日時点のものです。

ぎょうざの満洲メニュー

餃子

・焼餃子 6個:300円(税込)
・水餃子 6個:330円(税込)
・ダブル餃子定食 焼餃子12個・ライス(白米または玄米)・スープ・漬物付:普通ライス740円(税込)/小ライス710円(税込)/大ライス790円(税込)
・焼餃子 3個:200円(税込)

チャーハン

・チャーハン(スープ・漬物付):普通盛550円(税込)/小盛520円(税込)/大盛660円(税込)
・チャーハンと焼餃子(焼餃子6個・スープ・漬物付):普通盛850円(税込)/小盛820円(税込)/大盛960円(税込)

麺類

・満洲ラーメン:1玉550円(税込)/0.5玉520円(税込)/1.5玉600円(税込)
・塩ラーメン:1玉550円(税込)/0.5玉520円(税込)/1.5玉600円(税込)
・タンメン(野菜255g):1玉610円(税込)/0.5玉580円(税込)/1.5玉660円(税込)
・みそラーメン(野菜200g):1玉610円(税込)/0.5玉580円(税込)/1.5玉660円(税込)
・旨辛菜麺(野菜165g):1玉680円(税込)/0.5玉650円(税込)/1.5玉730円(税込)
・チャーシューメン:1玉850円(税込)/0.5玉820円(税込)/1.5玉900円(税込)
・もやしラーメン:(野菜240g):1玉650円(税込)/0.5玉620円(税込)/1.5玉700円(税込)
・うまにラーメン:(野菜179g):1玉750円(税込)/0.5玉720円(税込)/1.5玉800円(税込)
・ソース焼そば(野菜230g・スプ付き):1玉610円(税込)

一品料理

・レバニラ炒め(野菜230g):単品480円(税込)
・レバニラ炒めセット(焼餃子・ライス(白米または玄米)・スープ・漬物付):普通ライス950円(税込)/小ライス920円(税)/大ライス1,000円(税込)
・野菜炒め(野菜290g):単品400円(税込)
・美保野ポークの肉細切りピーマン(野菜165g):単品700円(税込)
・マーボ豆腐:単品550円(税込)
・国産ハーブ鶏のよだれ鶏:(野菜105g):単品500円(税込)
・美保野ポークの肉野菜炒め(野菜245g):単品550円(税込)
・美保野ポークのホイコーロ(野菜190g):単品600円(税込)
・美保野ポークのしょうが焼(野菜60g):単品680円(税込)

あんかけ丼

・やみつき丼(野菜120gスープ・漬物付):普通盛650円(税込)/小盛620円(税込)/大盛700円(税込)
・中華丼(野菜179gスープ・漬物付):普通盛750円(税込)/小盛720円(税込)/大盛800円(税込)
・天津飯(旨味あん・スープ・漬物付):普通盛570円(税込)/小盛540円(税込)/大盛620円(税込)

ライス

・単品ライス(白米):普通ライス170円(税込)/小ライス140円(税込)/大ライス220円(税込)
・スープ付ライス(白米):普通ライス200円(税込)/小ライス170円(税込)/大ライス250円(税込)
・単品ライス(玄米):普通ライス170円(税込)/小ライス140円(税込)/大ライス220円(税込)
・スープ付ライス(玄米):普通ライス200円(税込)/小ライス170円(税込)/大ライス250円(税込)

他にも「おつまみ」・「お飲み物(お酒)」・「お子様メニュー」・「お飲物(ソフトドリンク)」・「デザート」などありますが、すべてを紹介していては切りが無いのでぎょうざの満洲メインメニューだけ紹介しました。

特にラーメンに関しては世間では1,000円の壁が話題になりますが「ぎょうざの満洲」では一番高い「チャーシューメン」ですら850円(税込み)なのでいかにお得に食べられるか分かります。

ぎょうざの満洲の特徴は、日常的に楽しめる家庭的な味わいです。
焼き餃子(6個300円)は熱々の状態で食べると、皮が厚すぎず、程よいもちもち感があり、肉と野菜のバランスが良い旨味が口に広がります。
さっぱりとした味わいで、「何度でも食べたくなる」というファンが多いです。

人気のトップ3に入るぎょうざの満洲のメニューは、餃子に次ぐ満洲しょうゆラーメン(550円)とチャーハン(550円)です。しょうゆラーメンはまろやかなスープが特徴で、麺をすするとほっとする感じがします。

チャーハンも具材とご飯の味が絶妙に混ざり合い、「これぞチャーハン」というシンプルな美味しさが感じられます。
食べやすい玄米と白米が半々になっており、まるで田舎のおばあちゃんが気遣ってくれているような心地よさがあります。

■餃子やラーメンの味に変化

そして長年のファンであれば、約5年前から餃子やラーメンの味に変化があったことに気付いているかもしれません。

例えば、餃子の場合、野菜と豚肉の比率は以前と同様に5対5ですが、2018年以降、豚の脂身を3割減らし、代わりに赤身を増量しました。

ラーメンのスープは2020年に豚骨や豚足の使用を中止し、代わりに国産の丸鶏や鶏がら系、昆布や鰹節などの魚介系、玉ねぎやねぎなどの野菜系を煮出して合わせたトリプルスープに変更されました。

代表取締役社長の池野谷ひろみ氏によれば、自身の高い血圧と、毎日の餃子やラーメン摂取、そしてスープの摂取に対して医師からの注意があり、それが変更のきっかけとなりました。
彼は「スープを飲み干せないようなラーメンを提供していてはよくない」と感じ、レシピの変更に踏み切ったそうです。

「味が変わったことで、お客様から苦情が来るのではないかと心配していましたが、ありがたいことにまったくそんなことはなく、かえって評価が高まりました。餃子の製造数も以前と比較して増加。

これは1人当たりの食べる量が増えたのが理由と思われます」と池野谷社長は述べています。

同社では国産素材を提携農家から仕入れ、自社農園で収穫したキャベツも使用しています。

埼玉県からの提案を受けて約10年前から進めている農業の6次産業化は、「1次産業としての農林漁業と、2次産業としての製造業、3次産業としての小売業等の事業との総合的かつ一体的な推進を図り、地域資源を活用した新たな付加価値を生み出す取組み」です。

生産から販売までを一貫して手がけ、これにより潜在的な可能性を広げ、付加価値を向上させることが意図されているようです。

その中で数字の「6」は、「1×2×3=6」から来ているのです。要するに、生産物の価値は掛け算によって増加するという発想でしょう。

■畑での経験をメニュー開発に応用

2014年に「満洲ファーム」として自社農園を設立し、その経営を担当しているのは副社長であり、農園主である池野谷高志氏です。


高志氏の実家が兼業農家であり、農業のノウハウを持っていたことが、自社農園を順調にスタートさせる理由の一つでしょう。

キャベツなどの収穫が季節によって制約を受けることから、提携農家の産物も活用していますが、主に自社農園の作物で需要を賄っています。

また、池野谷氏の自宅の畑でも野菜を栽培し、その経験がメニュー開発に生かされているそうです。

「野菜を自分で育てることで、旬の味の変化に気づくようになります。
例えば今は大根がみずみずしくて美味しい。それで店で提供しているのは大根の漬物です。

期間限定メニューもこれといった時季の変化から生まれます。通常のマーボー豆腐よりも辛い『辛マーボー豆腐』も、当社で山椒の実が収穫できたことからアイデアが生まれました」(池野谷社長)

新鮮な素材を活かしたヘルシーで飽きのこない味のメニューが、満洲の魅力の一翼を担っているようです。

客層は幅広く、幼児から年配の方まで幅広い層が訪れ、男女比率も中華ジャンルとしては女性が多い傾向にあります。多くのメニューで白米か玄米を選択できるが、意外にも40~50代の男性の中で玄米派が目立つそうです。

これに対して池野谷社長は「その分大盛りを注文する人も多い」そうです。

また、社員たちは毎日、社食で自社製の餃子やラーメンを食べており、これが自然な形で味について考える機会を提供し、ブラッシュアップを継続しています。

たとえば、11月3日にリニューアルされた「天然えび入り水餃子」も、よりえびの旨味を引き立たせるために調味料を見直した結果だそうです。

なお、見直しに関しては、2022年に物販の餃子を美味しく焼くためのマニュアルも改訂されました。

これにはコロナ禍で自宅で餃子を焼く人が増えたことも影響しているでしょう。

客の声に応える形で、池野谷社長を含む調理研修担当や商品開発担当が検証し、店舗と同等の美味しさで餃子を焼く方法が編み出されたとのことです。

このように、毎日の食事に焦点を当てつつ、味の追求を続けることは、満洲の独自の味を形成していると言えるでしょう。

■「3割うまい」というお得な価格

また、忘れてはならないのは、日常使いできる手頃な価格で提供される店舗の存在です。

チャーハンと餃子のセットは850円で、生ビール中ジョッキも490円とリーズナブルな価格です。

このチェーンのキャッチフレーズ「3割うまい」は、売り上げのうち原材料費、人件費、その他経費を均等に3割ずつ割り当て、バランスの取れた経営を行うという意味も込められています。

最近の物価高騰にも関わらず、10月に値上げが行われました。焼き餃子は以前の280円から20円上がりましたが、それでも手ごろな価格が維持されています。

価格の安さの理由について尋ねると、「すべて自家製」であることが大きな要因とのことです。

餃子、麺、惣菜、デザートまで全てが自社工場で製造され、中間マージンがかからないように自社流通で店舗へ配送されています。

また、作りたてのおいしさにこだわり、工場から店舗への配送は毎朝行われています。例えば、餃子は早朝3時から製造が始まり、11時には店舗に届けられています。


出店エリアが埼玉県と東京都の西部に偏っている理由は、埼玉県の坂戸市と川越市にある自社工場から1時間半以内に配送できる場所にしか出店できないからです。

関西方面には2015年に江坂工場が完成し、出店が可能になりました。

年に2店舗ずつ出店する微増のペースを維持しており、このペースはコロナ禍でも変わりませんでした。

地主からの直接のオファーが多く、条件が合えば出店しているそうです。

条件とは、工場からの配送時間と、表通りに面した路面店であることです。気軽に入れる雰囲気を大切にしています。

■全国から注文が寄せられるECのぎょうざの満洲の冷凍餃子

業績は前年比114%、2019年比111%となっています。コロナの時短要請期間中は一時的に1割の落ち込みがありましたが、餃子の生産量は変わらず、その理由は店舗とECで販売される冷凍餃子や生餃子(消費期限が1日なので店舗のみ)が好調だったためです。

元々物販が売り上げ全体の4割を占めていましたが、コロナ中は6割まで伸びました。

ECのぎょうざの満洲の冷凍餃子は全国からの注文が寄せられ、贈答で受け取った人々がその品質に満足し、自ら注文するケースも増えています。

社長の池野谷氏によれば、「またふるさと納税の返礼品としてもご利用いただいています」とか。

EC商品の価格を見ると、送料込みで12個入り×6パックが2850円(沖縄は+910円)。

1人前に換算すると230~240円と、スーパーの冷凍餃子に匹敵する安さです。この手のご当地チェーンでも、広く名前が知られている理由の一端はここにあるかもしれません。

ぎょうざの満洲 冷凍餃子ECサイト

ただ、冷凍餃子はコロナ禍以降、無人店舗や冷凍自販機もものすごい勢いて出店しており「ぎょうざの満洲の冷凍餃子」はここからが正念場と言えそうです。

まとめ

以上が、ぎょうざの満洲が安定した人気を誇る理由の一端です。

ヘルシーさ、安心できる味、コストパフォーマンスなど、普段使いに適した要素が揃っており、これらが長年にわたりファンを引き寄せています。

また、遠方の人々も気軽に味わえる物販が、裾野を広げ知名度向上に寄与しています。

特に飲食店のブランドでは、家族との幸せな思い出がブランドイメージを形成しています。
親から子へ、そして孫へと受け継がれてきたことも、ぎょうざの満洲の魅力の一因でしょう。

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